”こだわらない”お寿司屋さん。
「寿し大洋」
道の駅ピア21しほろから車で5分。士幌のまちの中心部、士幌上士幌線と本別士幌線の交差点の角に店を構える寿し大洋。
今回取材班は士幌に住んでいる人しか知らない「寿し大洋」の魅力を知るために事前に士幌町民の方へアンケートを行いました。
それではさっそく、アンケートで出た声をもとに「寿し大洋」の魅力に迫っていきたいと思います。
内陸の寿司屋だからこそ
─「まかない丼」へのコメントが非常に多かったです!もともとまかないとして提供していたものをメニュー化したものということですか?
もともとはうちでまかないで食べていたものではなくて、うちの父さんが若い頃修行していた時にまかないで食べてたようなものみたいで、例えば魚を切って出た使えないところを集めて、後で自分で食べるみたいな。そういう由来でまかない丼っていう名前になりましたね。
―自分のまかないだったということが由来なんですね。
最初はメニューに載せていなくて、完全裏メニューだったんですよ。知っている人だけが「あれちょうだい!」って頼んでもらっていたんだけど、噂で広まり、注文してくれる人が増えて、じゃあメニューに載せちゃおうってなって今に至っています。
―噂で広まるなんて、本当においしかったんでしょうね。どんな丼なんですか?
ちらしの場合は、寿司を握る時に使う大きさのネタをごはんの上に載せているけど、まかない丼は、新鮮なネタを細かく切ってウニ醬油で和えているんですよね。
―料理を頼むとついてくるエビの出汁の味噌汁へのコメントもとても多く気になりました!「寿司よりむしろこのお味噌汁を食べに来てる」なんて声もありました(笑)
これは昔からやってて、寿司食べた人に無料で出すメニューで、エビの出汁をかなりの長時間かけてとってるんでエビの味をしっかり感じることができると思います。
―豚の角煮に関するコメントも多くありました!宴会メニューとあるんですが、普段は頼めないということですか?
基本的には寿司屋は魚だけど、魚じゃないものもっていう要望がある中で、宴会メニューで出し始めたものですね。普段から頼めないのかっていう声もあるんですけど、何日もかけて仕込まなきゃいけないのでなかなか厳しくて。少なくとも1週間くらい前に言ってもらわないと作れないですね。
―豚の角煮に限らず宴会メニューに触れるコメントが多かったんですが、宴会メニューになっているものは仕込みに時間がかかるものということですか?
鍋もやってるんですけど、急に来て鍋って言われても材料がないので予約してもらわないと作れないですね。たまに持って帰りたいっていう人がいるからテイクアウトも対応してますね。近所であれば寿司の配達もしてますね。
―本当に幅広く様々なメニューにコメントが来ているんですが、お店側からのおすすめメニューはありますか?
昔、札幌のホテルの寿司屋にいたんですけど、そういうところって握りが小さくて、一個一個あぶったり飾り付けたりするんだけど、田舎はそれが必要なくて、だからおすすめって言われるとなかなか難しいんですよね。都会は寿司一人前でお腹いっぱいになると怒られるんですよ。でもここは一人前でお腹いっぱいにならないと怒られるんですよ。同じ寿司屋でも仕事内容が相当違う。だから「この品!」とかじゃなくてトータルで楽しんでもらえるように考えています。
―今、都会の寿司屋と田舎の寿司屋の対比があったと思うんですけど、海側の寿司屋と内陸の寿司屋の違いみたいなものもあったりしますか?
海側だと目の前の浜でとれたことを売りにできると思うんだけど、今は流通がいいから逆に考えると北海道の真ん中にあるからオホーツク海でも日本海でも太平洋でもいいものが手に入るっていうのが売りですね。
―十勝で一番の寿司屋なんて声もありましたが、自分たちはここに自信を持っているという部分はありますか?
実は私はカウンター寿司と回転ずし、両方で働いた経験があるんですよ。カウンター寿司と回転ずしって働いている側の意識が違うんです。カウンター寿司から回転ずしに行ったら「なんでこんなところに下がってきたんだ」って言われたんですよ。自分はそんなイメージはなかったんだけど。実際働いてみると、回転ずしってファミリーレストランに近くて、仕事内容が全然違ったんですよね。ぼくは回転ずしで副店長までやったくらいだからカウンター寿司に変にプライドは持ってなくて、だからお客さんのこれしてほしいにできるだけ応えようという姿勢が強みかなとおもいます。
―確かに両方を経験するっていうのはなかなかないようなイメージがあります。
それと、メニューに載ってなくてもできる限りのことはしますね。カウンター寿司と回転ずし、両方のいいところを持っていると思います。こっちがこうしたいじゃなくてお客さんの「何が食べたい」を大事にしています。
大洋のこれまで
ー川崎さんはこのお店の何代目に当たられるんですか?
寿司屋としては2代目だけど、商売としては4代目。ひいじいさんが飲食店やったり、パチンコやったり、うちのじいさんは運送業やったり、スナックやったり、約100年かな。うちのお父さんは婿で母さんの実家だから、45年くらい前にすすきので寿司職人をしていた婿をもらって本格的に寿司屋中心にしようとしたんですよ。
ーじゃあ屋号を大洋にしたのも45年前ですか?
いや、もっと前。もうなんで大洋なのかも誰もわかってなくて、それぐらい昔から大洋ですね。昔ここに寿司屋とバーが半分ずつあって、バーも大洋だったし(笑)近所のご老人に聞いても誰もわからないって(笑)大正時代にこのあたりのまちができた頃からあったんですよ。旧士幌駅ができる前からです。
ー川崎さんはこのお店を継ぐまでどういった道を歩まれたんですか?
士幌町で生まれて、高校は音更町で、調理の専門学校で札幌にいって30歳までは札幌にいましたね。履歴書書くと表では収まらないくらい、寿司だけでなくいろいろなことをしてました(笑)プロバイダーのカスタマーセンターとか。入った月から成績がいきなりトップでした(笑)ステージの上に立つようなこともしていて、それがいまのアイドル育成に役立っていたりしますね。寿司は札幌での社会人生活10年のうち9年は働いていましたね。
ー士幌に帰ってきたきっかけはなんだったんですか?
兄弟が妹1人だったから、中学校くらいの時からいずれは帰ってくるんだろうなと思ってましたね。でも料理はやったことがなくて、専門学校は行ったときにサンマとイワシの区別がつかなくて、キャベツとレタスの区別がつかなくて、「どっち…」ってなってました(笑)料理するのが好きで飲食をやろうではなく、家を継ぐことから入っていきましたね。30歳みたいな区切りじゃないと帰れなくなると思って30歳で帰ってきました。
ー札幌から士幌に帰ってきたらギャップだらけだったんじゃないですか?
ギャップだらけでした。12年もいないと家もすごく増えてて、歩いてて「どこ、ここ?」ってなりましたね(笑)あとは、帰ってきて1年たって商工会青年部に入って外に士幌を発信しようとしたときに改めて士幌って知られてないなって実感しましたね。住んでたら当然「士幌」って漢字は読めるし、場所もわかるし、上士幌町と違うこともわかるけど、でも外に行ったら、札幌にいたときも「あー!バルーンのまちね」って言われちゃって、少しイラっとして(笑)地域おこしをしている元々の根幹はそこにあって、士幌って全然知られてないのに誰も何もやってないなって。それでひとりでいろいろと始めた感じですね。
ーフリーペーパーのしほろっち、すごく素敵ですよね。
最初の頃は毎回編集会議に苦労しましたね。最初のメンバーは、北嶋くん、黒坂さん、神尾くんかな。士幌旅館の西潟君はパソコンができないから記事書いて来いっていったら手書きで持ってきて(笑)今、西潟君がやってる士幌旅館の公式ブログも書き方を一から教えました(笑)フリーペーパーは見てくれてる人が結構いてうれしかったですよね。ネタがない時は裏側を塗り絵にしてなんとかしてました。(笑)インターネット版もありますよ!昔、しほろっちTVっていう生配信番組をやってたので。YouTubeにあがってます。
ーYouTubeで配信してる士幌町の定点カメラ映像も川崎さんですよね?
このお店の上にカメラがあるんですよ。実は来月からテレビ朝日の「ワイドスクランブル」のオープニングに定点カメラの映像が使われるんですよ。(笑)ただ北海道はオープニングだけがちょうど見れない編成なので僕たちはみれないんですけどね(笑)最近はロシア語や韓国語のコメントが増えてきて、チャンネル登録者は中国の人が増えてきてます。なんでなんだろう(笑)
↓士幌町定点カメラ映像
実はさっき話に出た「しほろっちTV」、じゃがいもんプロジェクトの一環として2021年からまた始めるんですよ。最初はZoomで撮影してYouTubeにあげる予定です。昔は簡単に配信ができなかった時代で、ここにパソコン3台くらい置いてカメラも置いて線もすごいことになってるような環境でUstreamに配信してました。今はスマホ一台あればできるからずいぶん楽になったよね。ぜひ楽しみにしていてください!
取材後に新しほろっちTV第一回が放送されました!
↓要チェックです!!
※駐車場は士幌町公共駐車場をご利用ください。