ピア21通信

商店街紹介

関西仕込みの漫才夫婦!?
「カントリーロード」

下居辺地区、プラザ緑風の斜め向かいに見える看板が特徴のレストラン。関西出身のご夫婦が営む小さなレストランは、薪ストーブの温かさに包まれる素敵な空間です。ご夫婦の話がとても面白いという噂を聞いていましたが、はやる気持ちを抑えてまずは名物のポテトピザとカツサンドを頂きました。

ホクホクの地元産ジャガイモとたっぷりのチーズがのっているポテトピザ。
とってもおいしそうですが、なんと一日限定2枚しか売っていないそうです。
この日は運よく注文することができました。
このおいしさと数量限定の理由を探るべく、お店を営む三木ご夫妻にお話を伺うことにしました。

妻の知子さん(左)と夫の正美さん(右)

―このメニューが生まれたきっかけとかってあるんですか?

正美さん きっかけは朝の子供番組やね。それの料理コーナーで紹介されてて、作ってみたらおいしくできたのでメニューになってます。

―なるほど、ちなみに、数量限定の理由は?

正美さん 作るのが大変だからです(笑)

知子さん 主人が作るのめんどくさいっていうんです(笑)

正美さん いやいや(笑)本当は外の窯でジャガイモを湯がいてるんで、結構大変で、お客さん来たら対応できないし。

早速始まった夫婦漫才。取材のことを忘れてしまわないように、次のカツサンドを実食。

こんがりと焼かれたパンの間に肉厚なカツが挟まれたシンプルな見た目のカツサンドはご主人の青春の味だそう。

正美さん 大阪にいた頃に通っていたサンドイッチ屋さんの味を思い出しながら作ってます。からしマヨネーズを使ってて、ちょっと大人の味やね。

食べ応えのあるカツサンドは、こんがり焼かれたパンとどこか懐かしい味付け、そしてサクッと揚げられたカツの絶妙なバランスでとってもおいしかったです!

そんな素敵なお料理を出してくれくれるご夫婦に詳しくお話を伺うことができました。

関西から士幌へ

―お二人のご出身はどちらですか?

正美さん 僕は大阪。

知子さん 私は生まれが京都なんです。

―そうなんですね。関西で出会ってご結婚されたということですね。北海道に、しかも士幌町に来られたきっかけは何かあるんですか?

正美さん もともとは子どもの山村留学がきっかけです。

知子さん きっかけはそうやね。ここにはなんの縁もゆかりもなかったけど、大阪にいた頃に、北海道で山村留学しませんかっていう新聞広告があって、それがきっかけなんです。娘が動物が好きで、馬にも乗りたいとかいうんで、行くか?って聞いたら「行く」って。(笑)

―それはすごい。ちなみにどのくらいの期間ですか?

正美さん 1年間。

―それは長い!!結構勇気のいる決断だったんじゃないですか?

正美さん まぁ、娘が行くっていうから。
それで、6月くらいに運動会があって、その時に初めて北海道に来たんやったかな。

知子さん 主人はその時が初めてやけどね。

正美さん え?

知子さん 私は入学式の時に来てましたから(笑)

正美さん 大して変わらへんやん(笑)

―なるほど(笑)でもそれでこっちに家族で引っ越すことになったのは何でですか?

正美さん 山村留学がきっかけでこっちと縁ができて、里親やってくれてた人が移住するなら協力するよっていうような話をしてくれて。

―そうだったんですね。でも移住となるとやっぱり不安もあったんじゃないですか?

知子さん ここに来たのは当時ここのあたりに住んでいた人たちがウェルカムな感じで、ちょっとした集落でもあったから、安心感もありました。それで移住を決めて。下の子が3年生、上の子が5年生になるときのことですかね。で、今に至るんです。

―それで士幌でお店をやることになったのはなぜ?

知子さん 主人がコーヒー好きだったんで、お店しようかって。(笑)

正美さん とは言いながらも、最初は僕が1年間仕出し屋に勤めてました。稼がなきゃならなかったから。その時にいろんな家に営業に行く機会があって、十勝や北海道の習慣を覚えることができた。

―最初はお客さん来なかったんですね。

知子さん もう全然。(笑)

正美さん オープンの日、僕は緊張してたんだけどね。(笑)
最初1人、手伝ってくれてる人がいて、その人のご主人が嫁さんと一緒の高校やってことに気が付いて。

知子さん ご縁があってその人の奥さんが手伝ってくれてて、今も十勝に住んでいらっしゃるはずですよ。

正美さん そんなことが言いたかったんじゃなくって(笑)その人が手伝ってくれてたんだけど、お客さん全然来なくて「申し訳ない」ってやめていってしまったんです。

―それで必然的にお二人でやるようになったんですね。

正美さん だから(商工会の)栩内さんに運がいいって言われますね。

知子さん 家賃と人件費がかからないから。(笑)

継続は力なり!

―確かにそうですね(笑)最初にこの建物を建てたんですか?

知子さん そうです(笑)

正美さん 本当はここはもともと農地で、なかなか買えない土地だったんですけど、ここの地域や役場の人が協力してくれて何とか宅地として買うことができたんです。

知子さん しかもお安く(笑)だけどもね、ここ整地するのにいくらかかったと思います!?その時はイケイケでなんでもやっちゃったけど、よかったのか悪かったのか(笑)

誰もが一度はあこがれるウッディハウスのお店

―それは夫婦の今後を決める重大な決断だったんじゃないですか?

正美さん 振り返ってみれば、大変だったなって思いますけどね。

知子さん 何とか続いているのは、何よりうちの主人は体力があったってことかもしれないです。(笑)私はすぐやめよう、やめようっていうけど。主人は続けることに意味があるって。

正美さん こういうのなんていうんだっけ、、えーと。

二人声を合わせて 「継続は力なり」(笑)

正美さん 2人でやるようになってからもしばらくは緑風の清掃とかの仕事もやってました。

知子さん そうなんですよ。最初のころは主人がバイトしてつないでくれていて、それがなかったら散々たるものですわ(笑)子どもには「なんでうち貧乏なん?」って言われてましたけど(笑)

正美さん お年玉の話になったときも、農家の人と比べて、、、(笑)

知子さん 娘が高校生の時、7000円だったんですけど、「お母さん、何この半端な数字!」って言われました。でも一万円もやられへんて(笑)
だから子どもたちは学校卒業したら家を出て行ってしまいました(笑)

―お子さんおいくつですか?

知子さん 堀田さんと同じ歳です。

―ほんとですか?びっくり!

正美さん 堀田さんどこ出身ですか?

―私は中札内です。

正美さん ええところやんね。あそこの道の駅ええよね。

知子さん もっといい道の駅が士幌にありますって!!もう何いうてんの~!もうしゃべらんといて!!

一同大笑い

どっちがボケでどっちがツッコミなのか

こだわりの?コーヒー

―今回、取材にあたって、このお店のアンケートをとったんですよ。カントリーロードについて教えてくださいって。

知子さん で、その衝撃の結果を教えてくださるんでしょ?あそこの店は20年間メニューが変わってないとか(笑)

―いやいや、そんなことないですよ(笑)結構コーヒーに関する声が多かったんですけど、コーヒーに対するこだわりはありますか?

正美さん 別にないよ~

知子さん (笑)(笑)あんたやめな!(笑) 

ずっと笑う知子さん

正美さん お前ちょっと黙っとけ(笑)

正美さん 実はね、僕には兄貴が2人いるんだけど、僕が22歳の時の誕生日に、神戸でミルを買ってくれたねん。ちょうどそこにあるんだけど。

―へー!それは素敵です!

知子さん 半世紀前のコーヒーミルです(笑)

正美さん 当時、大阪市内の住んでた近くに、自家焙煎もやってるコーヒー豆の卸屋さんがあって、そこが安く分けてくれてたんです。そこから4種類の豆を買って、自分でブレンドして飲んでたんです。
ちょうど学生時代で、下宿してたので、みんなにそれをふるまってたんです。それがきっかけ。いまもずっとハンドドリップでやってます。

近隣の農家とのつながり

―すごくいい話じゃないですか(笑)
先ほど頂いたポテトピザへの声も多いです。

知子さん 士幌の農家さんとつながりができてからはじゃがいもが安定的にたくさん手に入るようになって、じゃがいもをたくさん使う士幌らしいメニューを考えていました。

―そういう地域の方とのつながりっていいですよね。

正美さん 士幌の農家さんには本当にお世話になってます。

―ジャガイモにそんなエピソードがあったとは、知りませんでした。ビーフシチューについても、アンケートでおいしいという声がありますけど、何かこだわりとかありますか?

知子さん シチューね、何がおいしいかっていうとね、士幌牛なんです。お肉がおいしい。うちの料理は家庭料理でそんなに凝ったことはしてないけど、食材がいいから(笑)

―なるほど。あとはサラダに関する声も多かったです。サラダがたっぷりって。

知子さん よそのお店を見るといつもこんなん少ないやんって思うからたっぷり入れてる。

正美さん ポテトピザのチーズもそういう感覚でたっぷり入れてます(笑)

―素敵なお店ですね。

知子さん こんなんいってるけど、何とかなるなって思い始めたのはここ最近。(笑)

夫婦円満の秘訣

―やっぱり最初の10年は大変だったんですね。

正美さん 今思うと、大変やったな。最初のうちは大変なのか、大変じゃないのかわからなかった。経験したことがなかったからね。過ぎてから振り返ってみると、ようやったなって思う。

―そうなんですね。貴重なお話ありがとうございます。じゃあ、最後に夫婦円満の秘訣をきいて終わりにしたいと思います。

正美さん エンマン、、、?

知子さん 円満ではないねん。(笑)

正美さん まぁ、妥協やと思うわ。

知子さん こんなもんやって思うことですかね。誰と一緒になってもこんなもんやって(笑)

―そんなことないですよ!(笑)

知子さん だってもっといい人いたかもって思いますやん!こんなはずじゃなかったって思うこともあるし、、

正美さん いや、、、僕もある。(笑)

知子さん 私はもっとある!!(笑)

楽しい取材になりました!素敵なご夫婦です!

―お似合いです(笑)ありがとうございました。

正美さん 笑いすぎて頭痛くなった(笑)

取材を終えて

関西仕込みの夫婦漫才を聞いているかのような楽しい取材になりました。予定よりも1時間延長してお話いただき、移住初期の苦労やその後の町の人との関係構築など、聞いているだけでも大変だったことが伝わってきましたが、それを乗り越えることができたのは、素敵な夫婦の絆の強さがあってこそなのだと感じました。

三木ご夫妻ありがとうございました!



〒080-1285 北海道河東郡士幌町下居辺136−1