ピア21通信

商店街紹介

”店主”兼”トーク担当”
「カフェ&ランチいちい」

タンノイのアーデンから心地よいジャズの音色が流れる店内でひときわ賑やかな人が…
その正体はカフェ&ランチいちいの店主兼トーク担当の大野一郎さん。2004年から始めたというお店のファンは十勝中にいるという噂も。十勝の食材をふんだんに使ったおいしい料理はもちろんのこと、一郎さんのトークと接客を楽しみに来る人も多いそうです。そんな魅力たっぷりの店主、いや、トーク担当にお話を伺うため、取材に行ってきました!

今回いただいたのは、いちい名物の「いちい弁当」と「十勝生姜焼き定食」。
まずは「いちい弁当」をご紹介。

美しい盛り付けとバランスが考えられた多彩なおかずの数々、そしてこのボリューム感。しかもご飯はおかわりできるという破格の設定。数量限定ですぐに売り切れてしまうそうです。大満足!!

続いては、一番人気の生姜焼き定食。生姜感たっぷりの甘いタレは見た目のインパクトも十分。一度食べるとやみつきになってしまう、味わい深さが感じられます。これだけでもボリュームたっぷりなのに、なんとご飯がおかわりできるという…!

食後のコーヒーもいただきました。チョコレートのおまけつき。こういった小さなサービスが店のいたるところに見られるのがこのお店の素敵なポイントの一つです。心地よく店内に流れるジャズに癒されながら、店主の一郎さんにお話を伺いました。

家族一丸のお店作り

―いつからこのお店を?

一郎さん

2004年の8月15日から。その前までは農家をやっていました。見ての通り(お店の周りが畑)、畑をやっていました。(笑)

―そうなんですね。このお店を始められたきっかけとかってありますか?

一郎さん

全く飲食業をやるつもりはなかったんですよ。実は、好きで始めたわけではないんです。そんな中で、うちのかみさんはもともと料理の手早さだったり、舌の感覚が人より優れている部分があって、凝った料理はできないけれども、ちゃちゃっと作る料理はものすごく得意だったんですよ。なので、娘や孫をサポートしながら、そういうお店のスタイルはどうかなってことで始めました。

最強の素人集団

―そういった事情があってこのお店を始められたんですね。でも、いきなり飲食業というのも大変じゃなかったですか?

一郎さん

そうですね。その点に関しては、どうしてもこのお店をやりたくて始めたわけではないので、お店の取り組み方がほかのお店とは違うかなっていう感覚でやってきました。

―というと?

一郎さん

自分の中では、最強の素人集団でありたいと、そう思っています。変なプロ意識を持っちゃうと、自分のことしか考えられなくなって、周りが見えなくなると思うんです。だから、来てくださるお客さんに対して、どういう姿勢で迎えることができるかっていうことを考えてきました。
おもてなしというよりは、「感じのいい店」を目指してやっています。例えば、いいなって思って喫茶店に入ってみたら、常連さんで固まって、一見さんが入ってくると冷ややかな空気が流れている、みたいな。ここにいても耐えられないなっていう、そういうお店はよくないと思っています。

―なるほど、このお店は一見さんにも優しいお店なんですね。

一郎さん

どっちかというと、うちは常連さんをないがしろにして、一見さんにどうやって向き合うかっていうことが第一条件なんです(笑)
初めて来た人が気に入ってくれなかったら、お店ってないなって思ってるんです。そして、そのお客さんのバックボーンを想像する。そうすると、店主の印象=お店の印象になるなって思っています。僕はこのお店の宣伝部長みたいなもんです(笑)

―宣伝部長(笑)確かに、お店の名刺にもトーク担当って書かれてますもんね。

お客様ファースト

―帰るときにアメがもらえると聞きました。

一郎さん

そうだね。(笑)
アメちゃんだけじゃなくて、いろんなものを配ったりしている。それは、ものがもらえるとかっていうのをアピールしたいわけではなくて、自分がお客さんとどう向き合うかっていうことの一環としてやっている。

――なるほど、ほかにお客さんに楽しんでもらうためにしていることはありますか?

一郎さん

料理の見た目ですかね。本当に何もできないんですよ、僕。(笑)
しゃべることだけ。でも、目の感覚というか、見た目の良し悪しはわかるから、見た目は大事にしています。味はカミさんに任せてます(笑)

―確かに、料理の見た目は大事ですよね。

一郎さん

WEBには少し載せているんだけれども、メニュー表とかには、ほとんど写真を載せていないんです。これはお客さんを油断させるため。出てきたときに、ちょこっとだけでも、おっ、と思ってもらえたらうれしいなという気持ちでやってます。

―あと、すごくお店の雰囲気がいいなと思うんですが、何か意識されていることはありますか?

一郎さん

おしゃれに、というよりかは、自分の中では音で決まるなっていう風に思ってる。だから今はジャズを流してる。

―音楽は昔からやっていたんですか?

一郎さん

20歳くらいの時からバンドをやっていたり、前まではうちの店でもライブとかをやってたんだけど、今はもうほとんどやってないね。
どんなライブやっても来るお客さん大体一緒で、だんだんその人たちに申し訳なくなってきて(笑)

日本一の感染対策

―なるほど、来てくれるお客さんに最大限気を使っている一郎さんならではの判断ですね。まさにお客様ファーストって感じがします。

一郎さん

そうかもね(笑)
でももともと楽しく話したりしながらゆっくりしてもらようなお店だから、コロナが流行って自分にはどういうことができるんだろうってことを考えて、その時思ったのは感染対策に最優先で取り組もうってことですね。自分の中では日本で一番感染対策をする店にしたいと思っていて、お客さんには「めんどくさいのは覚悟してください」ってジョークを言いながら協力してもらってる。でもそこだけは本当にしっかりやろうって思ってます。お客さんには最初に「間違いなくコロナのお客さん来てます」って伝える(笑)

―それはまた斬新ですね(笑)

一郎さん

そういう前提で対策してもらわないと、本当の意味での対策にならないなって思ってて。おしぼりの使い方から、トイレの入り方まで。トイレも「間違いなくコロナのお客さんが使ってます」って言ってる(笑)
そうなると自分の身を守るためにお客さんもきちっとやってくれるからね。

一郎さん

お店側がなんぼやっても、お客さんと一緒にやらないとちゃんと対策できない。ちなみに、最後まで聞いてくれたお客さんにはお菓子をプレゼントしてる(笑)
アメとムチってやつだね。(笑)
お客さんは逆にこのスタイルを知っちゃうと他にはいけなくなるかもしれない。それぐらい徹底して対策してるからね。それが狙いだったりもする。

取材を終えて

お店の雰囲気、感染対策、料理の見た目、接客態度、どれをとっても一郎さんの他人を思いやる性格がにじみ出ていると感じました。優しさとユーモアあふれる「店主」兼「トーク担当」の一郎さんがいる「いちい」というお店は、町の外から来た友人や仕事仲間に思わず勧めたくなる、そんなお店だと思います。この魅力的なお店、トーク担当の一郎さんのことをもっと知りたいと感じました。



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