ピア21通信

商店街紹介

先代の残した技術と品質を守り続ける
「大西精米製粉所」

道の駅ピア21しほろから車で5分。中士幌の市街地のちょうど中心部の国道沿いに大西精米所はあります。創業は1950年ごろ。終戦後の米不足を受け、大西金助さんが、父・芳助さんの勧めで蕎麦の製粉工場を始めたそうです。

愛される理由

製粉会社の多くは大手が市場を独占しており、小ロットで製粉してくれる工場がほとんどないのが現状です。一方、大西製粉では原料22.5kgという業界では非常に小さいロットでの製粉を可能にしています。小ロットでの製粉が可能となれば、例えば農家が直接蕎麦製粉を依頼し、オリジナル蕎麦麺を商品化を実現することができるなど、小さな規模でもやりたいと思っていたことが実現できるのです。そういった点から現在、大西製粉では様々な角度で需要が増しているそう。

効率重視の大規模工場では決して敵わない、小さな工場だからこそできる機動力の高さがこれからの時代にとてもマッチしているように思えます。

それでは、超少ロット製粉が可能な大西製粉のこの時代にあった魅力と価値について探っていきたいと思います。

下段左から、ロール挽きの蕎麦粉、石臼挽きの蕎麦粉、むきみ蕎麦

まずは商品のラインナップから

(道の駅ピア21しほろで販売しております。)

大西製米の製粉の技術は大手では絶対真似できない技法で製粉するため、とてもきめ細かい粉なのが特徴です。(粒子の細かさは企業秘密)

そのため、ここの蕎麦粉じゃなければ蕎麦は打てない、というくらい根強いファンも多いそう。現に、道の駅ピア21しほろには定期的に大西さんの蕎麦粉だけをお買い物に来る方がたくさんいらっしゃいます。(スタッフより)

小麦粉とロール挽き蕎麦粉の「二:八蕎麦」や、

石臼挽き100%、

むきみ100%、

ロール挽きと石臼挽きの1:1

など、小麦粉と蕎麦粉の両方とも販売し、組み合わせや割合を自分好みにブレンドしたり、繋がり具合、打ち具合に四苦八苦するのも魅力の一つだと聞きます。そういった楽しみ方を大西製粉の粉だけで楽しむことができるのです。(筆者はそば打ち未経験。)

工場見学

歴史を感じる工場にお邪魔し、企業秘密とはわかっているものの、美味しさの秘密を探ってみました。

工場に入ると所狭しと大きな機械が大きな音と立てて稼働しています。そして積み上がる蕎麦や小麦の原料。

天井に這う何本ものベルトはそれぞれの機械に繋がったり、合流したり。

1つ1つの機械がとても古い。

何がなんだかわからない。例えるなら、ハウルの動く城みたい。ワクワクする。

技術を受け継ぐ

―忙しい時期に来てしまってごめんなさい!(訪れたのは12月のため、年一番の繁忙期でした。)

大西さん

この時間(15時)だったらもう仕事にならないから大丈夫ですよ!

―と、言いますと?

大西さん

挽いた粉の状態は目視で確認しながら製造するんです。蛍光灯の光ではいい状態か判断できないので。必ず太陽の光の下でいい状態の粉かを判断します。

―えー!そんなに細かい条件での確認が必要なんですね!大西さんの小麦や蕎麦はスーパーで売っている大手とどんなところに違いが出ますか?

大西さん

うちの小麦粉は熱処理漂白をしていないので、大手のものよりも少し茶色みがかっていますが、香りの高さと素朴な味わいは格別だと思います。

―へー!普通は熱処理をして漂白するのですね!!キメの細かさはどうですか?

大西さん

うちは・・・とてもこだわった技術で製粉しているので、かなり細かいと思います。金網だと強度が合って、破れないのがいいのですが、ある程度以上は細かくならないので・・・

―そこが秘密ですね!?

大西さん

はい。笑

―工場も、機械もとても古いけど、こんなに若いご夫妻が製粉所を継いだこと、とても希望に感じます!これからやっていきたいことや、夢ってありますか?

大西さん

そうですね・・・。現状維持です。今の状態を変えないことですかね。

― ・・・?

大西さん

今の古いこの工場や機械とか。先代の技術とか。こういうのをしっかり守ることが今の僕たちにとって一番大切なことだし、一番難しいって実感しています。

取材を終えて

今やるべきことは、「現状維持」と聞いて保守的なように聞こえるかもしれない。しかし、実際に大西さんご夫妻にお会いし、工場を見せてもらい、現状を維持することの責任の重さと難しさを感じました。

まだまだ先代から経営移譲を受けて4年。時代の流れや価値観も大きく変わる中で、先代の残した大切な工場を守りながら、士幌町でひたむきに製粉業に向き合う大西さんご夫妻がとても眩しく思えました。



〒080-1189 北海道河東郡士幌町中士幌73