
士幌の商店街を、
長期に渡って見守り、支える
「清寿司」

士幌町の商店街の中心部に構える清寿司。
店主の伊藤さんを訪ねた。
しほろの商店街とともに

やー!商店街はひどいよ。夜になったら、犬や猫すら通らないんだよ?大変な時代になっちまったなー!堀田さんこの店買わないかい?笑
訪れたのは12月。本来であれば、忘年会の繁忙期真っ只中のはず。今年は新型コロナウイルスの影響でぱったりと客足がなくなってしまった。
―とは言っても伊藤さんはいつもお元気ですよね。おいくつになられましたか?

え?いくつに見える?笑 77だよ。
―み、見えない!!!!!
商店街の最盛期の話や、移住して店を持つことの大変さ、商売に対する思いを聞いてみました。
上士幌町出身の伊藤さん。寿司は熱海で寮に住み込みして修行したそう。当時、熱海は観光や接待で最盛期。良い店がたくさん合った。仕事は忙しいし、先輩は怖いし、大変だったけどやりがいもあったとのこと。
その後、お兄さんの「清寿司」を暖簾分けしてもらう形で十勝に戻り、士幌で開業しました。
オープン当初、士幌町の人口は1万人。道路はアスファルトではなくて、まだ砂利道の時代。だけど、車はいっぱい走っていて、とにかく活気があった。綺麗な女性のいるお店も飲食店もたくさんあった。呉服屋さんや、おやき屋さんや、惣菜屋さんも。
一番栄えていた時代に開業だったわけですが、最初はお客さんが全然来なかったそう。

移住した人間が士幌で店をやるのは大変だ。その点ではこの町は閉鎖的だと思うな。今はだいぶ変わったとは思うけどさ。
―伊藤さんがこれだけ長く寿司屋を続けてこられた理由はなんだったのですか?

はははー!だって食べていけないもん!必死さ。それしかないよ。堀田さんもそうでしょう?
―はい、何年もこの仕事を続けて行けるように頑張ります。
では、続いて伊藤さんのお寿司を実食!
カウンター7〜8席に、4人掛けの御座敷が3席の店内。
カウンターに座ると、手際よく魚を捌きながら、ちょうど良い距離感を持って世間話をしてくれる。
なんだかホッとする空間。
そうこうしてるうちにサッとお寿司を提供してくれました。
取材だからって、大きな巻き寿司を作ってくれました。
美味しいお寿司をいただきながら、今後の商店街についてお話してくれました。

商店街は厳しいよ。周り見てみてもみんな僕と歳か近いしさ。70代ばっかりだ。高齢化もそうだけど、一番大変なのは後継者がいないことだよ。
1つ1つの商店を残すことが美徳ではないけれど、私たちに何ができるのでしょう
―商売の魅力はなんですか?

今魅力なんてなーんもないよ!!!でもさ、昔はよかった。魅力的だった。確かにロスは出るし、原価は高いけどさ。良い時代に商売させてもらったよ。
―今は予約制ですか?

毎日開けてるよ。常連も前はいたけどさ。常連はみんな死んだよ!はははー!
取材を終えて
士幌の商店街の最盛期に寄り添いながら商売をやってきた伊藤さん。
伊藤さんのお話を聞いて自分の仕事を長く続けていく覚悟と、この商店街の未来の在り方について考えさせられました。
あと何年商売を続けてくれるかわからないけど。だからこそ、今この町に住む私たちが商店街のことを目に焼き付けておこうと感じました。