ピア21通信

商店街紹介

出汁が香る店内、
背中で語る蕎麦職人
「しほろ庵」

道の駅ピア21しほろから車で5分。士幌町中心部を少しだけ通りすぎ、交差点を曲がると、士幌町で長年続く蕎麦屋さんがあります。今回取材班は士幌に住んでいる人しか知らない士幌のお店のディープな魅力を迫るために町民アンケートを行いました。

実食!

と言うことで今回は町民の方の声をもとに創業26年になる「しほろ庵」を営んでいる上野さん夫婦にお話を伺っていきたいと思います。アンケートでは、ざるそばと天丼のセットが美味しいとあったので、早速注文させていただきました。

お蕎麦は色もよく良く、細切りで喉越しツルッと、舌触りも香りもとても良かったです。ちなみに蕎麦粉は隣町、鹿追産を使用しており、製粉は、同じ士幌町にある大西製粉さんにお願いしているそうです。細かいリクエストに応じてくれて、いい蕎麦粉が届くそうです。

天丼もセットなのに一人前くらいの量で揚げたての天ぷらに食欲をそそられます。揚げたての熱々サクサクで美味しいし、そばとの口当たりのギャップで、そばの喉越しの良さをさらに引き立ててくれる最高の脇役でした。

上野さんにインタビュー

お蕎麦を美味しくいただいたあとは、ご主人の話を伺うことができ、お店がオープンした時の苦労話などを聞くことができました。

―ご主人は、昔から士幌にいらっしゃるんですか?

上野さん

地元は足寄町でね、高校卒業してすぐ京都に行って、しばらく板前として働いていたんだよ。その後に北海道に戻ってきてね、網走と十勝川温泉とで板前を続けていたんだよね。それで、士幌に仕事あるよって紹介されて士幌に引っ越してきたのさ。

―士幌きてすぐに店開けたんですか?

上野さん

士幌に来てからはまず、緑風荘で仕事してたんだよ。それでそのうちに当時の士幌の副町長に「士幌に蕎麦屋がないからやりなよ」って言われたのさ(笑)蕎麦の経験なかったんだけどね。やってほしいという声もあるから、勉強するために帯広で修行してから士幌にお店を構えたんだよ。

―開店するまでに苦労はありましたか?

上野さん

修行に行った時には、蕎麦の打ち方は教えてくれたんだけど、出汁は教えてくれなくてね。もう本とか読んで独学で味を作ったね。

―やっぱり試行錯誤しながらだったんですね。

上野さん

最初はね、試行錯誤の連続だよね。組み合わせを考えて、やっとの思いで納得する味に出会ってね。店始めた頃からずっと味は変えてないんだよ。味変えちゃうとお客さん困っちゃうからね。

―お店を初めて苦労したことってありましたか?

上野さん

士幌に来て、店を始めた時は余所者扱いされてキツかったね。なかなかお客さんが来なかったんだよ。

―なんとかそれを乗り越えて?

上野さん

そうだね。続けていけばなんとかなるって。それに旅行で来たお客さんがたくさんきてくれて、なんとかやっていけたね。

―初めて何年くらいでああやっていけそうだなーって思いましたか?

上野さん

店を建てた時の借金を10年で返そうと思って、10年経って返せなかったらやめようと思ってたんだよ。だけど、7年くらいで返せたからそこからは安定したなと思ったよ。最初なんて色々やってたよ、オードブルやったり、それこそ蕎麦寿司だってやり始めたもん。

お!アンケートに蕎麦寿司はメニューにないけど、好きだという声がたくさんあったんですよ。

上野さん

今は宴会メニューでしか出してないんだよね。事前に予算を教えてもらって、メニューを作るんだけど、その宴会メニューに蕎麦寿司を出す時があるよ。大変なんだけどね(笑)

皆さんしほろ庵は蕎麦はもちろんだけど、アンケートでも丼も一緒に頼むというのが定番ですよね。やっぱり板前で料理を極めてきたから美味しいんでしょうね。

上野さん

板前やっていた時の経験は活きていると思うよ。蕎麦はこちらにきて修行したけど、天ぷらは昔から作っているしね。

―本当においしかったです。主役級の脇役って感じでした。

上野さん

ありがとう!

取材を終えて

快く取材に受けてくださった優しいご主人からお店の歴史もお蕎麦のこだわりも聞かせていただきとてもいい時間を過ごさせていただきました。
またすぐに行きたくなるお店。長年、士幌町民に愛される理由が紐解けた気がします。



〒080-1200 北海道河東郡士幌町士幌本通西12-1